いざ自分が家を建てようと思ったところで、正直初体験。何から始めたらいいものかイメージが全く沸きませんでした。というか、妻は関西出身で土地勘があっても、私は関東出身で関西に住んで数年経っているとはいえ土地勘なんてほとんどありません。住宅展示場に行ったところで、住みたいエリアも決まっていないのに上屋を見てもしょうがないよな、と思った私たちは、さてどうしたもんかと考えていました。
そのときは、夫婦揃って自堕落な生活をしていたこともあり体重が増えていました。結婚式の時はお互い細かったんですけどね、幸せ太りということにしてください。ということで、この時期はダイエットがてら二人で仲良く散歩を始めていたタイミングでしたので、せっかくなら散歩しながら土地探し(住みたいエリア探し)でもしてみようかとスタートしました。
散歩しながら土地探し
最初は、その当時住んでいた近所を散歩していました。閑静な住宅街でもあったので、このままこの辺に住んでもいいかなと思っていたのですが、明らかに土地がなさそうだったのと、外部から来た人間に対して少しだけ閉鎖的な印象がありました。さらに妻が信頼の置ける筋から仕入れてきた情報によると「学校が荒れているからお受験がいるかも」ということで、ちょっとこのエリアは厳しいかなと思い始めました。新婚で、賃貸で住んでる分には全く不満のないエリアだったんですけど、残念です。じゃあ、少し足を延ばしてみるかと散歩エリアを広げて散策を続けていきました。
ちなみに散歩中は、ボーッと歩いているというより、五感で色々感じることを意識してました。そして何より、夫婦共に自分の第六感を信じていました。私たちはスピリチュアルな世界や感性との縁はありませんが、なんとなく感じる、言葉では説明しにくい感性を大切にしました。例えば、神社やお寺に行ったときに、なんか空気感変わったなって感じるようなアレです。
平日は日中仕事をしていますので、夫婦揃って早く帰れた日は夜の散歩、週末は昼間も散歩していました。昼間いいなと思った場所も、夜歩いてみると別の顔をしていることが多かったです。街頭が少なく暗い、なんとなくゾワゾワするとかです。昼間の時点で、なんかこの辺の雰囲気は合わないなといった感覚もありました。この感覚は妻も同じでしたので、一緒に色々しゃべりながら散歩を続けました。
時折、良さそうなお店があったり、素敵な景色の場所があったり、散歩しているといろんな発見があって面白かったです。自分たちに合いそうなエリア探しがメインですが、時間に余裕もありましたので、二人で楽しみながらのんびり動けたのは良かったです。
結局のところ、歩ける範囲は一通り散歩し尽くしたのですが、その当時住んでいたエリア付近で私たちのフィーリングに合う場所を見つけることはできませんでした。
理想のエリアとの出会い
じゃあ、少し違うエリアも見てみるかと、とある週末妻の地元に行ってみることにしました。
さすが地元なので妻の土地勘は抜群でした。この辺はこうであーでと、色々教えてくれながら楽しいお散歩タイムでした。
妻が子どもの頃に住んでいた付近を一通り見た後、学区が広かったのでゆっくりその周辺も散策していました。このときに私の耳に残ったのは「こっちの方のエリアは同じ学区だけど、子どもながらに憧れた地域だなぁ。自治会のお祭りとかも大きくて羨ましかったな」という妻の言葉でした。
実際歩いてみると、不思議なことに私の地元に近い雰囲気、そしてここは妻が昔憧れた地域。ここには、その当時住んでいた近所を散歩していたときとは全く違う感覚がありました。なんだか親しみのもてる町並み、穏やかな空気感、「あぁ、きっと探していたのはこのエリアだ」と何か運命的な物を感じました。
そして、このエリアをまずは候補にしようと決めました。
情報収集
候補エリアができたところで、今度はその地域について調べていきました。妻の地元なので基本的には問題ないだろうとの安心感はありましたが、そこに住んだらどんな生活になるかのイメージを自分なりに掴んでおきたかったからです。
調べる項目をあげるとキリがないのですが、メインは下記の10項目です。もちろん、私たち夫婦は不動産の専門的知識はありませんので、この調査が正しいかどうかの評価はできません。あくまで、自分たちだったらここは確認しておこうというポイントですので、参考になるかはわかりませんが書いておきますね。
- 地価
- 治安
- ハザードマップ
- アクセス(公共交通機関、幹線道路、職場)
- 買い物ができる場所の有無
- 教育環境
- 公園、緑地環境
- その地域の所得層
- 自治会
- 土地の循環性
1.地価
そのエリアの地価は、インターネットで『地価』と検索すればすぐに地価情報を扱うサイトが見つかりますので、調べるのは容易です。併せてSUMOなどの不動産サイトを使って、実際に販売されている土地のサイズ感と値段を見ることで、自分の調べたいエリアの地価相場を知ることができます。
地価を知っておかないと、いざ土地を購入したいと思ったときに予算オーバーするので、この地価なら上限何坪まで購入できるなという目安にしてました。
2.治安
治安を調べるのは中々難しいです。過去に事件が起きていないかや風営法絡みの施設がないかはネットで調べられますが限界があります。現地確認は必須。現地を歩いていれば、住宅の雰囲気、道幅、街頭の数、防犯カメラの数、近くに交番や駐在所があるかなどが見えてきます。町並みを見ればなんとなくの雰囲気で治安の善し悪しはわかりますね。
そこに暮らしている知り合いから聞くが手っ取り早い、今回は妻の地元ですので、妻に色々聞いて確認しました。
3.ハザードマップ
災害リスクを知るためのものです。インターネットで『ハザードマップ』と検索すればすぐに調べられます。メインとなる項目は4つで、洪水、土砂災害、高潮、津波になります。長く住む土地になるので、できればこの4項目はクリアしておきたいところです。
4.アクセス
まずは公共交通機関へのアクセス。電車、バス、徒歩の3点ですね。電車は言い換えると駅までの距離。駅まで近すぎると賑やかなエリアになるので、駅前のマンションに住みたいとかでなければ少し駅から距離を置きたいところ。その場合はバスの有無と本数の確認が必要です。徒歩でバス停や駅に行けるかも確認しておきます。
次に職場までのアクセス。これは通勤方法と時間の確認になるのですが、ネットでだいたい調べられます。あとは想定される通勤方法でトライしたら実測できます。車通勤なら幹線道路までのアクセスも併せて見ておきたいですね。
最後に小・中学校へのアクセスも要チェックです。将来、自分の子ども達が徒歩で通うであろう場所になるので、徒歩何分くらいかは事前に知っておきたいところですね。
5,買い物ができる場所の有無
スーパーマーケット、ドラックストア、コンビニ等の食料品や日用品を購入する場所の確認です。歩いて行ける距離にあれば理想的。なくて困ることはあっても、あって困る物ではないです。お店の雰囲気やラインナップを知るために、現地に行って確認しておきます。
6.教育環境
公立の小学校、中学校の教育水準。勉強するしないは子どものやる気次第ですが、何かをしたいとなったときに足かせにならないような教育環境が整っているか、校風はどんな感じかといったところがチェック項目でしょうか。
これは正直調べるのはかなりハードルが高いです。学年毎に違いがでますからね。ただ、部活動の実績や進学実績である程度の見極めはできます。とはいえこれも、実際にそこに通っていた妻の経験談が一番参考になりました。
7.公園、緑地環境
私は緑のない環境が、あまり好きではありません。東京に住んでいた経験もありますが、どちらかというと緑に囲まれた環境でのびのびしている方が好きです。田舎くらいとは言いませんが、ある程度の緑があり、近くに自然豊かな公園があるのが理想ですので、その辺の情報も集めました。正確には、歩き回りました。
8.その地域の所得層
地価に対する土地の広さ、上屋の雰囲気でだいたいわかります。なんでこんなのを調べたかというと、自分たちの生活水準とかけ離れ過ぎている地域だと、ちょっと生きづらいかなと思ったからです。近所付き合いしたときにあまりに自分の常識と離れていたら、お互いしんどいですからね。妻に確認して、問題なさそうか判断してもらいました。
9.自治会
自治会活動が活発かどうかです。自分が役員になる可能性とかの部分もありますが、子育てをするなかで子供会がしっかりしているところが個人的には嬉しい。子ども達が地元のお祭りやイベントを通して楽しめる環境かを確認しました。
10.土地の循環性
将来『負動産』にならないかのリスク確認です。例えば、バブル期前後に開発が進んだ地域やそれ以前から住宅地として存在していた地域の場合、その当時に住宅を購入した人が建て替えや売却をするタイミングが必ずあります。循環性の高い土地であれば、古い家が徐々に減り、逆に新しい家が建っているはずです。徐々に新しい家ができていれば、その土地は長期的にニーズがある場所なので、将来もし自分が手放すことになったときにも『負動産』にならずに済みます。現地を歩いて回れば、住宅の状況、軒先にある車の種類や自転車、子ども用品などで、子育て世帯のニーズのある土地かどうかわかります。もっと知りたければ、その学区の生徒数の遍歴も参考になります。
ただ、一帯が新規分譲地だと循環性の判断は難しいです。この場合は、30~40代の子育て世帯が一気に流入するエリアになってしまうので、公共交通機関(特に駅)からの距離や幹線道路へのアクセスのしやすさから想像するくらいですかね。
エリア候補の決定
散歩して感じた印象とある程度調べた内容を踏まえ、夫婦二人で結論をだして、このエリアを軸にしていこうと決めたのでした。まぁ、元々妻の地元ですので、妻が過ごしてきた経験という主観的情報があって、いろいろ調査した客観的情報で問題なければ、このエリアで決まりますよね(笑)
その後、無事にこのエリアで家を建て、住み始めて2ヶ月後に長男登場。気がつけば3人の子ども達と一緒に、にぎやかな生活を送ることになっていきます。